バッタの食べ物完全ガイド|好む草や野菜・NGな餌と正しい飼育法
道端の草むらや公園で見かける身近な昆虫の代表格であるバッタ。子どもが捕まえてきて自宅で飼育することになった際、「とりあえず近くに生えている適当な草や、冷蔵庫の野菜を与えておけば大丈夫だろう」と安易に考えていないでしょうか。実はその判断が、捕まえたばかりの元気なバッタを数日で衰弱死させてしまう最大の原因になっています。
一口に「バッタ」と呼んでも、種類によって食べる植物の好みが完全に分かれているだけでなく、中には生きた昆虫や小動物を捕食する肉食性・雑食性の種類まで存在します。本記事では、昆虫生態学の基本データや飼育愛好家・専門博物館の現場知見をもとに、代表的なバッタの種類別好物、野菜の正しい与え方、絶対に口にさせてはいけないNGフード、そして長生きさせるための給餌テクニックまで徹底的に解剖します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:ショウリョウバッタやトノサマバッタは「イネ科」を主食とし、オンブバッタは「シソ科・キク科・野菜」など幅広い葉を好む。
- 要点2:水分量が95%を超えるキュウリやレタスだけの給餌は下痢や栄養失調を招き、残留農薬による即死事故のリスクが極めて高い。
- 要点3:エノコログサなどの新鮮な野草の確保と、濡らした脱脂綿による安全な水分補給が長期飼育・越冬の成否を分ける。
【草食だけじゃない?】バッタの食べ物は種類で激変!肉食・雑食の生態と真実
「バッタ=緑の草をかじるおとなしい草食昆虫」というイメージは、昆虫分類学の視点から見ると大きな誤解を含んでいます。日本国内に生息するバッタ目(直翅目)の昆虫は、大きく分けて純粋な草食性であるバッタ亜目(トノサマバッタ、ショウリョウバッタ、オンブバッタなど)と、肉食や雑食の傾向が強いキリギリス亜目(キリギリス、ヤブキリ、ウマオイ、コロギスなど)に分類されます。
草食性の強いバッタ類であっても、極度の飢餓状態に陥ったり、飼育ケース内に過密状態で収容されたりすると、脱皮直後の無防備な仲間を襲って食べる共食い(カニバリズム)が頻発します。これは動物性タンパク質や水分を緊急補給するための本能的行動であり、単一の餌不足が引き金となります。
草むらで見かける緑色の細長い昆虫がキリギリスやヤブキリであった場合、草だけを与えていても餓死してしまいます。彼らは強力な大顎と鋭いトゲを持つ前脚を備えており、野生下では他の昆虫やアブラムシ、樹液、果実などを貪欲に捕食します。捕獲した個体の触角の長さ(体長より長ければキリギリスの仲間、短ければバッタの仲間)をまず見極めることが、餌選びの絶対的な第一歩となります。

【種類別好物一覧】トノサマバッタ・ショウリョウバッタ・オンブバッタが喜ぶ草と野菜
自宅で飼育する機会が多い代表的な草食性バッタ3種について、それぞれが本能的に求める植物の種類は明確に異なります。野外で採取する野草とスーパーで手に入る野菜の適合性を整理しました。
| 種類・分類 | 最適な主食・野草データ | 代替可能な野菜・副食 | 編集部の見解・飼育難易度 |
|---|---|---|---|
| トノサマバッタ (イネ科専門) | エノコログサ(猫じゃらし)、ススキ、カラスムギ、メヒシバ | トウモロコシの葉、スプラウト(小麦若葉) | 大食漢のため毎日大量の新鮮なイネ科の葉が必要。広葉植物はほぼ食べない。 |
| ショウリョウバッタ (イネ科専門) | エノコログサ、ススキ、チガヤ、シバの葉 | イネ科の若芽、市販の猫草(エンバク) | 細長い葉を縦方向に削るように食べる。水挿しで葉の鮮度維持が必須。 |
| オンブバッタ (広葉植物・広食性) | クズ、オオバコ、タンポポ、ヨモギ、シソ | 無農薬キャベツ、小松菜、ニンジン(薄切り)、サツマイモの葉 | 家庭菜園の葉を荒らすほど野菜への嗜好性が高い。初心者にも最も餌が用意しやすい。 |
| キリギリス・ヤブキリ (肉食・雑食性) | 生きた小型昆虫(ミルワーム、コオロギ幼虫、アブラムシ) | 熱帯魚のエサ、鰹節、煮干し、昆虫ゼリー、リンゴ | 動物性タンパク質が不足すると共食いが発生。単独飼育が鉄則。 |
都市部の公園や空き地で最も調達しやすいのがエノコログサ(通称ネコジャラシ)です。トノサマバッタやショウリョウバッタに対しては、根元近くから刈り取ったエノコログサを、倒れないよう工夫した小さな水入れ(ペットボトルのキャップや小さな瓶)に挿してケージへ入れると、葉がしおれず2〜3日間旺盛に食べ続けます。
【実態検証】飼育現場で起きた悲劇とSNS・愛好家のリアルな声
昆虫飼育コミュニティや知恵袋、SNSの投稿を分析すると、初心者が陥る「バッタの突然死」には極めて共通したパターンが見受けられます。
「夏休みに子どもと捕まえた立派なトノサマバッタに、冷蔵庫にあったキュウリを入れておいたら、翌朝ドロドロの糞をして動かなくなっていた」という相談は、毎年7月から9月にかけて無数に投稿されます。また、「ケース内に5匹入れておいたはずが、翌日には手脚が散乱し2匹に減っていた」という共食いの惨劇も後を絶ちません。
日本昆虫学会に所属する研究者や多摩動物公園昆虫園の飼育解説資料によると、バッタ類は消化管が直線的で非常にデリケートな構造をしています。野生下で常に適度な繊維質と水分を摂取している個体に対し、急激に水分過多な食物や異質な糖分を与えると、浸透圧の崩壊による消化不良と脱水症状を引き起こします。現場の観察データが示す通り、人間の「良かれと思って与えた野菜」が、かえって彼らの寿命を縮めている現実があります。

【要注意】絶対に与えてはいけない危険な餌とありがちな3大NG行為
バッタを衰弱死させないために、飼育管理上で避けるべき危険な餌と飼育環境のトラップを3点に絞り込みました。
1. 市販野菜の「残留農薬」による即死
人間には完全に無害な微量の農薬であっても、体重わずか数グラムの昆虫にとっては致死毒となります。スーパーで購入した小松菜やキャベツをそのまま与え、数分後に痙攣を起こして死に至るケースが多発しています。野菜を与える場合は、無農薬栽培のものを選ぶか、流水で徹底的に洗浄した後にしっかりと水気を拭き取る必要があります。
2. キュウリやスイカなど「水分過多フード」の単体給餌
水分含有率が95%を超えるキュウリやレタス、果物類だけを与え続けると、バッタは重度の下痢を起こし、ケース底面に張り付いて動けなくなります。また、腐敗した野菜から発生するアンモニアガスやカビは、閉鎖された飼育容器内の環境を一気に悪化させます。野菜はあくまで補助食と位置づけ、主食には必ず繊維質の高い野草を用います。
3. 容器むき出しの水皿による「水没・溺死事故」
バッタにも水分補給は不可欠ですが、水を入れた小皿をそのままケージ内に置くのは厳禁です。バッタは腹部側面にある「気門」という小さな穴で呼吸しているため、水たまりに落ちると数分で窒息死します。水分補給は濡らしたティッシュや脱脂綿を敷いた小皿を置くか、霧吹きでケージの壁面に細かい水滴を吹き付ける方法をとります。
【プロの結論】バッタ飼育で失敗しない給餌ルーティンと越冬時の管理法
バッタを健康に長く飼育し、秋の深まりとともに迎える越冬期を乗り切るための実践的な管理基準を提示します。
成虫となったバッタの寿命は、野生下では通常2〜3ヶ月程度であり、10月下旬から11月の初霜が降りる時期に寿命を迎えるのが自然の摂理です。しかし、ツチイナゴのように「成虫で越冬する種類」や、室内加温環境で飼育されるトノサマバッタは、適切な給餌管理によって年を越して春先まで生存させることが可能です。
冬期の越冬用エサの確保法:
冬場は野外のエノコログサやススキが完全に枯死します。この時期の主食として最も確実なのが、ホームセンターやペットショップで販売されている「猫草(エンバクの苗)」や、園芸用のスプラウト種子(小麦や大麦)を室内で発泡スチロール栽培する方法です。常に新鮮なイネ科の生葉を絶やさない体制を整えることが越冬成功の鍵となります。
【飼育に向いている人・慎重になるべき人の判断基準】
- 飼育に向いている条件:近所に農薬の撒かれていない河川敷や草地があり、週に2〜3回新鮮な野草を採取できる環境にある人。毎日のフン掃除と枯れ草の交換を怠らない人。
- 飼育に慎重になるべき条件:「野菜くずだけで手軽に飼える」と考えている人。冬場に生きた植物を室内栽培するスペースや手間を確保できない人。

【バッタの食べ物】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:キャベツやきゅうりなど人間の野菜だけでバッタは一生育てられますか?
A1:オンブバッタであれば無農薬のキャベツや小松菜を中心に育てることも可能ですが、トノサマバッタやショウリョウバッタはイネ科の植物を食べないと栄養失調で確実に死に至ります。また、キュウリ単体では水分が多すぎて下痢を起こすため、いかなる種類であっても野菜のみに頼った長期飼育は推奨されません。
Q2:捕まえてきたバッタがケースの中で全くエサを食べてくれません。
A2:主な原因は「種類とエサのミスマッチ」または「環境ストレス」です。トノサマバッタに広葉樹の葉を与えていないか確認し、エノコログサなど新鮮なイネ科植物を入れてみてください。また、直射日光が当たる場所や人の往来が激しい場所は避け、風通しの良い明るい日陰にケージを置き、落ち着ける足場(枝やネット)を設置してください。
Q3:バッタの幼虫(小さいバッタ)には成虫と同じエサを与えても大丈夫ですか?
A3:種類ごとの植物の系統(イネ科か広葉か)は同じで問題ありませんが、幼虫は大顎の噛む力が弱いため、硬く育ったススキの成葉などは噛み切れません。エノコログサの柔らかい若葉や、新芽の部分を選んで与えるのが脱皮不全を防ぎ無事に成虫へ育てるコツです。
まとめ:正しい餌の知識がバッタの命を救う!観察を楽しむためのポイント
身近な草むらに生息するバッタたちですが、その食性は「イネ科専門」「広葉樹・野菜嗜好」「肉食・雑食」と極めて高度に分化しています。エサを与える際は、まず捕獲した個体の種類を正確に特定し、自然界で何を食べていたのかを忠実に再現することが飼育の基本原則です。
新鮮なエノコログサの調達、濡れコットンによる安全な水分補給、そして残留農薬の徹底排除という3つの鉄則を守るだけで、バッタの生存率は劇的に向上します。正しい知識を持って日々の摂食行動をじっくり観察し、身近な昆虫のダイナミックな生態の不思議を体感してください。 (出典: Yahoo!ニュース 芸能・エンタメ)